青梅まちづくりレポート 第1号

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― 自然・教育・伝統文化を紡ぐ ―

発行:青梅環境フォーラム / 2026年6月

はじめに

青梅環境フォーラムは、「自然・教育・伝統文化を紡ぐ」を合言葉に、青梅のまちで今なにが起きているのか、これから何が論点になるのかを、できるだけ分かりやすく市民のみなさまにお届けしていく市民団体です。

このレポートは、市政や地域の話題を一方的に評価するのではなく、「事実」と「論点」を整理してお伝えすることを大切にしています。賛成・反対のどちらの立場の方にも、判断の材料としてお使いいただける読みものを目指します。今号はその第1号です。今後はおおむね週に一度のペースで、旬な話題を中心にお届けしていきます。

まずはじめに、青梅のいまを数字で簡単に確認しておきます。青梅市の人口は2025年1月1日時点で約12万9千人(129,105人)、世帯数は63,583世帯です。世帯数は微増が続く一方、人口は長期的にゆるやかな減少局面に入っており、少子高齢化への対応がまちづくりの共通認識になっています。市の2025年度(令和7年度)一般会計予算は約654億5千万円と過去最高規模で、前年度から約66億5千万円(11.3%)増えました。物価高への対応や子育て支援の拡充がこの伸びの大きな要因です。

こうした背景を踏まえ、今号は4つのテーマを取り上げます。

1.今号の旬な話題 ― 青梅駅前再開発「藍テラス」、4月に竣工・順次開業へ

いま青梅で最も「まちの顔」が変わったのが、JR青梅駅前です。青梅駅前地区第一種市街地再開発事業は、駅前の約0.5ヘクタールを対象に、商業施設・図書館・住宅を一体で整備するもので、総事業費は約72億円。再開発ビルは「藍テラス(あおテラス)」と名づけられ、2026年4月に竣工しました(4月21日に竣工式)。商業ゾーンは4月末から順次開業しており、まさに新しいランドマークが動き出したところです。

建物は地上14階建てで、1階に店舗が並ぶテナントゾーン(11区画)、2階に青梅市図書館、3階から上は総戸数112戸のマンション(デュオヒルズ青梅ザ・ファースト)という構成です。1階にはカフェや生活雑貨店、青果店、文具店などが内定し、駅前の暮らしに合った店舗が順次そろっていく見込みです。これまで駅の北側にあった図書館機能も、この2階へ移ります。低層部の外観には、伝統の織物「青梅縞(おうめじま)」をモチーフにした藍色のタイルが採用され、名称の由来にもなっています。市は2025年度予算でこの再開発への補助として約13億8,664万円を計上しており、市政としても力点の置かれた事業です。

ここからの論点は、大きく三つあります。第一に、「駅前のにぎわいが定着するか」。人口減少で空き店舗が目立っていた中心市街地に、住む人と訪れる人を呼び戻し続けられるかが、これから問われます。第二に、図書館移転後の使い勝手と、駅北側にあった旧図書館跡地の活用です。第三に、まちなみとの調和。藍テラスは「青梅縞」を採り入れて景観に配慮していますが、昭和レトロや古い宿場町の風情とどう響き合わせていくかは引き続きの課題です。開業はゴールではなく、ここからどう育てていくかが本番だと言えます。

2.自然と環境 ― 再生可能エネルギーと、青梅の山河をどう守るか

青梅は市域の多くを森林が占め、御岳渓谷(名水百選)や多摩川、御岳山(武蔵御嶽神社、ロックガーデン)など、秩父多摩甲斐国立公園に連なる豊かな自然を抱えています。この自然は観光やレジャーの資源であると同時に、土砂災害を防ぐ「緑のダム」としての役割も担っています。

近年、全国で論点になっているのが、太陽光発電施設と自然環境の関係です。青梅市の消費生活センターにも、太陽光発電に関する相談が増えていると報告されています。一般に、山林を大規模に伐採して設置するメガソーラーは、保水力の低下による土砂災害リスク、景観への影響、生態系への負荷といった懸念が指摘されます。一方で、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーを増やすことは時代の要請でもあります。

ここでの論点は、「再エネ推進」か「自然保護」かの二者択一ではなく、青梅にふさわしい再エネのかたち(屋根置きや適地誘導など)をどう設計し、設置のルールをどう整えるか、という点にあります。森林の保全と防災、景観、エネルギー政策が交差する、まさに「自然を紡ぐ」テーマであり、今後も継続して取り上げていきます。

3.教育 ― 学校の統廃合と老朽化、子どもたちの学びの場をどうするか

青梅の教育で、いま最も大きな岐路に立っているのが学校施設のあり方です。市は「青梅市立学校施設のあり方審議会」を設置し、2025年1月に中間報告をまとめ、2月14日に教育委員会へ提出しました。

背景には二つの課題があります。一つは少子化です。市内には小中あわせて26校がありますが、すでに小学校5校・中学校2校が、各学年1クラスのみの「単学級」となっています。クラス替えができない、集団活動の幅が限られるといった影響が懸念されます。もう一つは施設の老朽化で、学校施設の半数以上が1960〜70年代に建てられ、築50年を超えています。残りの多くも築40年以上で、建て替えや大規模改修の時期が一斉に訪れます。

審議会は当初2025年3月末に答申をまとめる予定でしたが、議論を深めるため中間報告にとどめ、今後は市内6地区ごとに保護者や地域住民の声を聞きながら、学校再編の方針を固めていく考えです。

論点は、「適正な学校規模の確保」と「通学距離・地域コミュニティの維持」のバランスです。学校は子どもの学びの場であると同時に、地域の防災拠点であり、お祭りや行事の中心でもあります。統廃合の議論は、単なる施設の話ではなく、地域そのもののあり方に関わります。なお市は、給食費の無償化や高校生までの医療費助成の所得制限撤廃など、子育て世帯への支援も拡充しており、こうした施策とあわせて見ていく必要があります。

4.伝統文化 ― 「梅の里」再生10年と、受け継がれる祭り

青梅の地名の由来でもある梅は、まちの誇りでした。しかし2009年にウメ輪紋ウイルスが確認され、感染拡大を防ぐため市内で約4万本の梅が伐採される苦難を経験します。名所「梅の公園」(吉野梅郷)でも約1,700本が伐採されました。

そこからの再生の歩みは、青梅の底力を示すものです。2016年に再植栽が始まり、梅の公園にはこれまでに約1,200本の梅が植えられ、着実に育っています。国による緊急防除の指定も2021年度に解除され、市内全域で梅や桃などを自由に植えられるようになりました。吉野梅郷の梅まつりも復活し、再植栽は2025年で10年目の節目を迎えました。論点は、「往時の景観をどこまで、どう取り戻すか」、そして次の世代へどう引き継ぐかです。

伝統行事も青梅の宝です。住吉神社の祭礼として500年以上の歴史をもつ青梅大祭は、12台の山車が青梅街道を練り歩く市内最大の祭りで、2026年は5月2日に宵宮、3日に本祭りが行われました。400年以上続く正月の青梅だるま市(1月12日)、1967年(昭和42年)に始まり全国の市民マラソンの草分けとして約1万6千人が参加する青梅マラソン(2月の第3日曜)も、まちの風物詩です。

一方で、昭和レトロの街として親しまれた青梅では、老朽化を理由に2020年に青梅赤塚不二夫会館が閉館するなど、観光資源の世代交代も進んでいます。映画看板や「ネコの町」といった独自の魅力を、これからどう磨き直していくかが問われています。

おわりに ― 三つの視点を「紡ぐ」

ここまで、駅前再開発、再生可能エネルギーと自然保護、学校の再編、梅の里と祭りという四つの話題を見てきました。一見ばらばらに見えるこれらは、実は深くつながっています。

駅前のにぎわいは、昭和レトロや祭りという「伝統文化」の魅力と切り離せません。学校の再編は、地域コミュニティの核を守れるかという問題であり、子どもたちが自然や祭りに触れて育つ「教育」の環境そのものです。そして再エネと森林の問題は、防災と景観を通じて、まちの暮らし全体に関わります。

青梅環境フォーラムは、「自然・教育・伝統文化を紡ぐ」という視点から、これからもまちの話題を分かりやすくお届けしていきます。次号もどうぞお楽しみに。ご意見・ご感想は、お問い合わせページよりお寄せください。

主な参考情報(出典)

本レポートは、以下の公開情報をもとに作成しました。数値や予定は今後変更される場合があります。

  • 青梅市公式ホームページ(予算の概要/令和7年度予算、市の人口統計、青梅駅前地区第一種市街地再開発事業、青梅市立学校施設のあり方審議会、梅の里再生・復興に関する情報、太陽光発電関連商品の設置に関する相談)
  • 青梅市議会・施政方針(市長の部屋)
  • 青梅駅前地区再開発組合ホームページ
  • おうめ観光ガイド(青梅大祭・だるま市・吉野梅郷・御岳渓谷)/青梅大祭オフィシャルホームページ
  • 青梅吉野梅郷梅の里未来プロジェクト

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